直球すぎです、成瀬くん
………ど、どうして、離してくれないの………?
何も言わないのに、手は離してくれないって、どうして………成瀬くんは、何を考えてるの…………?
「………っあの…っ、ど、どうして、こんな…………交流会の時も、今も…………私に、構うんですか………?成瀬くん私のこと、よく思ってないじゃないですか…………なのに、どうして………」
私はつい、そう口にしていた。
気づいたら、喋っていた。
……言ってしまってから、やってしまったと思った。
………どうして私に構うのって、訊き方は他にもあったでしょう…………!
「何で構うのって、好きだから」
……………………え……………?
ようやく振り向いた成瀬くんは、いつもと何ら変わらない、感情の読み取れない顔でそう言い放った。
そして、手首がやっと解放されたのだと認識するのに少し時間がかかったのは、今、成瀬くんの口から放たれた言葉に、軽い衝撃を受けたから。
……え、………い、いま、な、……何て………?
「……あ、…の、え、と………え……?」
今、成瀬くんから放たれた言葉の意味がわからず、私の頭はフリーズした。
全く機能していない頭で振り絞った声は、全く意味のなさない、ただの文字になって口から出てきた。
………す、すき………って、言った………?よ、ね、今……?
……え……だ、誰が……何を…誰を………………?
「顔」
「……へ、?」
顔、と一言そう言われ、少しの間が空いたあと、私は慌てて自分の顔をもとに戻そうと努めた。
…きっと、働かない頭で必死に理解しようとしていた私の顔が、見るに堪えないものだったんだ……
み、見苦しいものを見せてしまった………
「顔がタイプ。おまえの」
「…………」
私の頭は、再びフリーズした。
頭の中、真っ白。何も出てこない。