直球すぎです、成瀬くん
「うん。でも大丈夫?ゴールしたあとも、成瀬くんに連れて行かれてるっぽかったけど」
「何か言われてない?何もされてない?大丈夫?」
そう言った百叶は、本当に心配そうな顔で私の手を取った。
……さっきのこと、言えるわけない…それに、からかわれたことなんて、もっと言えない………
「…うん、大丈夫だよ。急に走ったから息切れしちゃって、ここで少し休んでたの」
「……そうなの?」
「うん、本当にごめんね、心配かけちゃって…」
頭を下げると、まりなちゃんの明るい声が飛んできた。
「も〜いいって!無事見つかったし、戻ろ!」
「…そうだね、戻ろっか」
それに百叶が続いた。
「…けどあそこ、確かに休むにはちょうどよかったかも。日陰だし、何となく涼しく感じたし…」
「だね〜…」
再び、日陰がひとつもない自分たちのクラスの場所に戻ってきた。
さっきまでずっと日陰にいたせいで、ここの暑さが余計に酷く感じられた。
お昼過ぎのこの時間は、1日で1番気温が高くなる。
私は、ペットボトルに残っていた水を一気に飲み干した。
「ねえ、柚」
「……ん?」
隣で日焼け止めを塗り直しているまりなちゃんが、内緒話をするようなトーンで話しかけてきた。
「…成瀬くんが引いたくじ、何だったの?」
「っ、!」
単純に気になって、と付け加えたまりなちゃんは、ボトルから追加の日焼け止めを出した。
……か、からかわれてたなんて、言えるわけない………