直球すぎです、成瀬くん
「いえーい俺1番うっしろ〜」
「おまえくじ運つよー」
「………」
新しい席に盛り上がる教室内で、私は1人、抱えた荷物を胸に、動けなくなっていた。
「………何おまえ、自分の席忘れたの?」
「…っい、いえ……ちゃんと、何度も、確認して、覚えてます……」
1番後ろ、1番窓側の席。
私の左隣の席、先にそこに座っていたのは、いつものように気怠そうな表情をした、成瀬くんだった。
………か、神様……これは何の罰ですか…………?
どうして、こんなに席がある中で、どうして成瀬くんの隣の席が私なんですか………?
「……座んねーのかよ、席、そこなんじゃねーの」
顎をしゃくった成瀬くんは、眉をひそめながら私を見上げた。
「……す、すみません………し、失礼します……」
……昔からくじ運はない方だったけれど、まさかここまでだったなんて………
小さくなりながら、音を立てないように静かに着席した。
自分の席なのに、何だか全く落ち着かない。
無性にドキドキして、悪いことなんて何もしていないのに、ここに座っちゃいけないような…妙な緊張感に、とにかく居心地が悪い……
……つ、次の席替えはいつだろう…………
ただでさえ成瀬くんには不快な思いをさせてしまっているのに、加えて席まで隣なんて……
からかわれていたとはいえ、私のことをよく思っていないのは確か……
………と、とにかく、迷惑だけは絶対にかけないように、音も立てないように、視界に入らないように、存在感も極力消して……
「ゆーず、帰ろ」
「っ!」