直球すぎです、成瀬くん
高校の授業にもだいぶ慣れてきて、苦手な数学も何とかついていっている。
週3日ある7時間授業も、それが普通になってきていつの間にか、あまり大変とは思わなくなっていた。
そんな私が今、1番気がかりなことはーーー
「……」
「………、」
先日、席替えをして隣になった、成瀬くんのこと。
なるべく存在感を消して、とにかくこれ以上の迷惑にだけはなるまいと、常に神経を尖らせて過ごしている。
……けれど、
「………」
………し、視線が、痛い…………
存在感は薄くしているはずなのに、時々、左隣からものすごい視線を感じる時がある。
思わず硬直してしまうほどの、鋭そうな感じのする視線。
かと言って何かを言ってくるわけではなく、ただ、じ、と見られている。
……今日は、これでたぶん3回目くらいだ………
特に数えるつもりはなかったけれどあまりに見られている感じがするので、その度無意識に数えてしまっていたんだろう。
……居心地が、悪い……
「はい、じゃあ今日はここまで。宿題は明後日の授業までに提出することー」
左側に全意識を持っていかれていた私は、いつの間にかチャイムが鳴っていたことに気づかず、先生の声ではっと我に返った。
先生が教室を出ていくと賑やかになる教室。
束の間の休み時間の雑談タイムとあって、みんなそれぞれ席を立ち始める。