直球すぎです、成瀬くん



その日の全ての授業が終わると、教室は賑やかな放課後を迎える。


今日は6時間授業。1時間分ないだけで、気持ちが少し軽い。



鞄にノート類を仕舞っていると、不意に隣からガタン、と椅子の音がして、私はビクリと動きを止めた。


そっと目を向けると、成瀬くんは椅子を後ろに傾けながら大きく伸びをしていた。


……な、何だ……ただ伸びしただけか………



ここ最近、私は過剰なほど成瀬くんの動きにビクついていた。


何か仕出かしてしまったんじゃないかと、常に神経を尖らせて続けていたら、そんなことを考えるようになっていた。




「柚〜」

「っ!」


急に明るい声が飛んできた。

その方を見るとまりなちゃんがいて、後ろに百叶と玲可ちゃんもいた。


「柚、今日ヒマ?」

「え…」

「これから4人でどっか遊び行かない?」

「放課後遊んだことなかったから、行きたいねって話になって」


続けて玲可ちゃんがそう付け加えた。



放課後、高校でできた友達と、遊びに…………

………嘘、本当に…………?




中学も友達はいたけれど、全部相手に合わせて接していたからか、放課後に遊びに行くような仲の友達は1人もいなかった。


中学2年で百叶と知り合って友達になってからはたまに2人で寄り道したりはしたけれど、百叶以外とそういうことは全くなかった。



高校でできた友達と、そして百叶と、放課後、遊びに……………!




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