直球すぎです、成瀬くん



「ね、みんなで勉強会しない?」


放課後、帰り支度をしていたところにまりなちゃんがやって来た。その後ろには百叶と玲可ちゃんの姿。




何だかんだで、あっという間に試験の時期が近づいてきていた。

各授業で試験範囲が発表され始め、いよいよ高校生になって初めての期末テスト、私もそろそろ勉強始めないと…と思っていた矢先だった。



「もちろん百叶先生筆頭で」

「えぇっ」

「いいねー、あたしも教えてほしい」

「ね、いいでしょ百叶!」

「う、うん…わかった」

「いえ〜い!じゃ図書室行こ〜!」

「柚も、行こ!」

「う、うん…!」


まりなちゃんに引っ張られる百叶の後について、私も玲可ちゃんと一緒に図書室へ向かった。




中に入ると、数人の生徒が勉強しているだけで静かだった。


「…え、めっちゃ静か」

「図書室ってそういうところだからね」


玲可ちゃんはそう言いながら、入ってすぐにある、4人が座れる大きなテーブルを指差した。


「ここでいんじゃない?広いし」

「おっけ〜じゃあ早速始めよ〜」


そのうちの1つの椅子に座ったまりなちゃんは、膝に鞄を載せて中からノートを取り出した。


「なんだ、めっちゃやる気じゃんまりな。中学の時なんてテストどうでもいいって顔してたのに」


その隣に座った玲可ちゃんが、次々とノートを出すまりなちゃんに驚いた様子でそう言った。


「高校生になったあたしは違うよ。勉強だって頑張って、成績優秀な土屋まりなになるんだから」


見てなさい、と腕まくりをしたまりなちゃんを見て、じゃあたしも頑張ろ、と、玲可ちゃんは同じく鞄からノートを出した。




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