直球すぎです、成瀬くん
「じゃ、今日も放課後お願いします!百叶先生っ!」
「うん。でも、やっぱり先生はやめて…?ちょっと恥ずかしい…」
「ええ〜なんで〜?ぴったりじゃん先生!教えるのめちゃくちゃ上手いし」
「百叶、諦めた方がいいよ。まりな気に入ったらずーーっと使うから」
「えぇ…」
昼休み、いつもの4人でお弁当を食べながらのこの会話は、ここ最近の恒例行事になっていた。
先日、百叶を中心にみんなで教え合いながら初めての勉強会をした。
友達と勉強会なんてしたことがなかった私は、その状況に少し感動しつつも、私もちゃっかり百叶〝先生〟に苦手な数学を教えてもらっていた。
まりなちゃんの言う通り、百叶は教えるのが本当に上手くて、『先生』をつけたくなる気持ちはよくわかる。百叶は恥ずかしそうに、やめてほしそうにしているけれど…
「テスト終わったら夏休みだもんね!!」
「その前にテスト頑張らなきゃだからね?あと2日だよ?」
「わかってるよ〜大丈夫!だってあたしたちには百叶先生がついてるし!」
「……」
諦めたのか、百叶は若干耳を赤くしつつも、そっと頷いた。
「あ、先生、あたし今日は現代文の復習見てほしいです!」
「……う、うん、わかった」
「……何かごめんね百叶。あと2日我慢して」
「だ、大丈夫だよ、うん」
自分に言い聞かせるように頷いた百叶は、ペットボトルのお茶を一口飲んだ。