直球すぎです、成瀬くん
「柚、大丈夫そう?この前言ってた、数学のわかんないとこ」
そして放課後、いつものように4人で図書室へ向かい、いつもの席について各々の勉強を進めていたら、隣に座った百叶が私にそっと声をかけた。
「え…あ、うん、大丈夫だよ、ありがとう」
「そう?ならいいんだけど…」
わかんないとこあったら教えてね、と付け加えた百叶は、自分の勉強に戻った。
数学はやっぱり苦手意識はあるけれど、百叶のおかげで、ほんの少し、それが薄れているような気がする。
その理由はやっぱり、百叶の教え方が先生みたいに上手だからだ。
ありがとう、と心の中で再度お礼を言うと、私も再びノートに目を移した。
「っあー勉強したあ〜!」
「ちょっ、まりな声大きい」
「あゴメン」
「でも今日だいぶ頑張ったよね、てか今何時?」
大きく伸びをするまりなちゃんの横で、玲可ちゃんは鞄からスマホを取り出した。
「えもう6時じゃん」
「うそ」
「ほんと」
ほら、とスマホの画面を見せる玲可ちゃんに、まりなちゃんはホントだ、と声を漏らした。
「じゃーそろそろ帰ろっか〜お腹も空いてきたし」
「だね」
「今日の夜ごはん何かなあ〜」
「あたしカレーって言ってた」
「え、カレーいいなあ〜!」
言いながら片付け始めた2人に続いて、私もノートを閉じた。
よし、帰ってごはん食べたら、もう1回見直しして……
「…え、雨降ってない…?」
「…え?」
不意に聞こえた百叶の一言で、全員が一斉に近くの窓に目を向けた。