直球すぎです、成瀬くん
……え………?
続けられた玲可ちゃんの言葉に、私は目を丸くした。
「え、ホントに?いいの?」
胸の前で指を組んだまりなちゃんは、目を輝かせながら玲可ちゃんを見た。
「うん、いいよ、百叶も柚も乗っていって」
「やったあ〜!玲可のお姉ちゃん最高〜!」
「え……い、いいの…?お姉さん迷惑じゃ……」
「大丈夫大丈夫、うちのねーちゃん可愛い子大好きだから、合法的に喋りたいだけだと思うし」
じゃ、友達3人も一緒でーって連絡しとくね、と再びスマホに目を移した玲可ちゃん。
「…あ、ありがとう、助かります…」
「いーのいーのこれくらい」
ぺこりと頭を下げた百叶に、玲可ちゃんは顔の前で手を振った。
「…あ、あの、玲可ちゃん…」
「ん?どしたの柚」
「も、もう、お姉さんに、連絡しちゃった……?」
「今LINE送るとこだよ、どしたの?」
連絡してしまう前に、と慌てて声をかけた私は、それを聞いて、ぎりぎり間に合ったんだと安堵した。
「…あの、ごめん、わ、私…傘、持ってるから……私は、大丈夫」
「…え?いいじゃんそんなの、乗ってきなよ」
「で、でも…」
「遠慮しないでよ、乗ってってよ」
ね?と笑った玲可ちゃんは、スマホに目を向けた。
……仕事終わりで疲れているであろうお姉さんの運転する車に、家がすぐそこの私が乗せてもらっていいはずがない。
みんなと家の方面反対だし、車だとそれって面倒だろうし、だったら傘持ってる私は歩いて帰った方がいいに決まってる。
「…わ、私、家すぐだから、大丈夫なの」
「……」
「…ほ、ほら、傘、あるし…」
私は鞄の中のグレーの傘を取り出してみせた。
「……ま、まあ、無理してまで乗らなくてもいいんだけど…」
「む、無理してるとか、そんなんじゃなくて…」
「わかったよ、わかった」
でも今度機会あったらねーちゃんと喋ってやってね?と笑った玲可ちゃんに、私は小さく頷いた。