直球すぎです、成瀬くん
「あ、来たっぽい」
「いえ〜い!」
先に帰ってしまうのも何だか申し訳なくて、私はお姉さんの車が到着するまで、みんなと一緒に昇降口で待っていた。
図書室から移動して数分で、車は到着したらしい。
車のライトを感じたのか、玲可ちゃんが外を確認しに行く。
「うん、来てた、乗っていいよー」
「じゃあ、柚、また明日ね」
「う、うん」
立ち上がったまりなちゃんに手を振り返すと、隣に座っていた百叶も立ち上がる。
「じゃあ、また明日ね。気をつけてね?」
「うん、ありがとう」
同様に百叶にも手を振る。
「…柚、ほんとに乗らなくていいの?全然乗れるけど大丈夫?」
「う、うん、大丈夫」
「そっか。じゃあ雨、気をつけてね」
「うん、ありがとう」
玲可ちゃんにも手を振り、私も立ち上がる。
3人を乗せた白い車がゆっくりと走り出すのを、私は何となくぼーっと見ていた。
……よし、私も帰ろう。
何となく、雨はさっきよりも弱まっているような気がする。
置いていた鞄を持とうと振り返ると、私は驚いて思わず後ずさった。
もう私たち以外の生徒はみんな帰ったと思っていたのに……鋭い眼が、私を見下ろしていた。