直球すぎです、成瀬くん
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「はいテスト返しまーす。呼ばれたら取り来いよー」
騒つく教室内。私は机の下で手をぎゅっと握り締めた。
テストが終わるなり、各授業ですぐにテスト返却がされる日々。
百叶のおかげもあって、点数はそこそこいい。
数学以外はーーー
ーーーそう、運命のテスト返却。最後は、私が1番心配していた教科、数学。
今まさに、その数学のテストが手元に戻ってこようとしている。
名前を呼ばれて答案用紙を受け取りに前に出るクラスメイトたちの背中を、私は息をするのも忘れて見ていた。
「はい次ー、宮藤ー」
「っ、!」
…き、きた…………
名前を呼ばれ、立ち上がる。
握り締めていた手のひらが汗で湿っていることに気づいた私は、慌てて手を開いて、乾かしながら前に向かう。
先生から手渡された答案用紙。
点数は見ないようにすぐに半分に折り曲げると、そのまま席へと戻る。
着席後、まだ見る勇気が出なくて、折り曲げた状態の答案用紙をちらりと見る。
……あ、バツ、1つ見つけた…………あ、ここも……
………嘘、頑張ったのに…………?
「はい次ー、成瀬ー」
「っ、!」
隣からガタンと椅子を引く音がして、私の両肩はびくりと上がった。
気怠そうに踵を鳴らしながら、成瀬くんが答案用紙を受け取りに行った。
……い、今、一瞬で点数確認して、すぐにしまおう………隣がいないうちに……
やっと決心がついた私は、折り曲げていたA3の紙をそっと開いた。