直球すぎです、成瀬くん
「久しぶり柚!…って、久しぶりって言うほどでもないか」
「ううん、久しぶり…!」
翌日。
お昼過ぎに駅前で待ち合わせをした私たちは、買い物をしたいという百叶の案で電車に乗るべく駅へ入った。
「今日も暑いね」
「うん、暑いね」
改札を通りながら、百叶はシャツの胸元を数回引っ張り風を送った。
高い位置で結ばれた艶々の長い髪は、歩くたびにさらりと風になびく。
白いシャツに細身のパンツを合わせている今日の百叶は、制服とはまた違った大人っぽさが出ていて、思わず見惚れてしまう。
……やっぱり、こういうところも大好きだなぁ…
シンプルな恰好でも様になるのは、百叶がやっぱりものすごく美人だからだなぁと、その横顔を見ながら思った。
3駅分電車に乗り、隣街に降り立った。
私たちが住んでいる街よりも大きくて、建物も人口も多い、中心地的な場所。
ここに来れば買い物には困らないくらい、色々なお店が立ち並ぶ。
隣街ながらテレビでしか見たことがなかった私は、何だか異世界に迷い込んだかのような感覚になった。
「服見たいんだけど、あのお店行ってもいい?」
まるで観光客のように上を見上げながらきょろきょろしていると、隣の百叶が私に声をかけた。
「あっ、う、うん、いいよ、行こう」
嬉しそうに笑う百叶に並んで、私はキラキラとしたおしゃれなアパレルショップに足を踏み入れた。