直球すぎです、成瀬くん



色々なお店を見て回っていたら、気づけばあっという間に2時間ほど経過していた。


「ごめん、お手洗い行ってきていい?」

「うん、いってらっしゃい」


近くにあったベンチに座って腕時計をちらりと見て驚いた。楽しい時間は、過ぎていくのが本当にあっという間。



…そういえば、百叶とこうして2人で遊びに行くの、中学の卒業式の日以来だったような気がする……


中学の頃は門限が厳しかった私の家だけど、卒業式の日は特別にと夜8時までの外出が許されて、百叶と生まれて初めてのファミレスに行ったんだ。

あれ、すごく楽しかったなぁ…………




「お姉さん、1人?」


「……えっ……?」


突然、声をかけられた気がした。

顔を上げると、そこには知らない男の人3人の姿があって、座る私を取り囲むかのようにして立っていた。


「ヒマなら遊ばない?オレらK大医学部の3年なんだけどー」

「ちょお前、堂々と大ウソついてんじゃねーよっ」


ギャハハ、と笑い声が響く。

その声に、思わず身を固くした。


………ど、どうしよう………こ、この人たち誰………?

どうしたら……………


そっと辺りを見回す。

…………百叶は………まだ戻ってきそうにない。



「とりあえずさ、イイ店知ってるから行こうぜ」


そのうちの1人が、私の腕を取って私を立たせる。


「しゃー行くかー」

「思ったより早く見つけられたな〜ラッキー」

「この辺り高校生多いってオレ言ったじゃん」


そのまま腕を取られ、グイグイとどこかへ連れて行かれる。


「あっ、あの………っ、」


抵抗しようにも、力が強くて振り解けない。


ど、どうしようーーーーーーー





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