直球すぎです、成瀬くん
「これ。ネットだから実物の保証はあんまりかもだけど、めちゃめちゃ安く済むとは思う」
「えーいいじゃん!可愛い!」
「これにしようよ!ね、リーダー!」
……私の位置からはスマホの画面はよく見えないけれど……可愛い子が可愛いと言うのだから、間違いない気がする。
「うーん……どうしよう」
目を輝かせながらそう話す女子たちに、少し困った顔のリーダー。
それにさらに畳みかけるように、口を開く。
「だってめちゃめちゃ安く買えるよ!?イチから作る手間と時間考えたら絶対こっちのがいいって!」
「……」
リーダーはちらりと百叶に視線を送った。
「…あ、うん、私も、その方がいい気がしてきた。作る数考えたら、やっぱりそっちの方がいいんじゃないかな?」
「……そう…?」
百叶がそう答えたのを聞いた女子たちの間には、ね!そうしよ!と、決定ムードが漂い始めた。
「……じ、じゃあ…衣装は、ここで揃えよっか」
「おっけ〜!」
玲可ありがと〜!と盛り上がる女子たち。
「……あの、ごめんね、百叶。せっかくいいお店教えてくれたのに…」
その横で、リーダーがそっと百叶に声をかけた。
「え、気にしないでよ、玲可がいいところ教えてくれてよかった」
「…うん、そうだね、ありがとう」
「ううん。サイズ合わせとか他にもやることたくさんあるし。もし手直しとか必要そうなら……柚もいるし、大丈夫。ね、柚?」
その会話を横で静かに聞いていたら、百叶に呼びかけられた。はっと2人を見る。
「……あ、う、うん…裁縫なら、そこそこ……苦手ではないので……頑張ります…」
「ほんと、ありがとう!」
リーダーが向けてくれた笑顔を見て、もしその時が来たら全力で頑張ろうと、私は強く心に誓った。