直球すぎです、成瀬くん
半ば強引に教室から連れ出された私は、教室から少し離れた場所にある空き教室に入った。
「あたしたち、外で待ってるから、着替えたら呼んで?」
「え……」
「あ、何か手伝い必要だったりする?」
「…っだ、大丈夫、です……」
「なら、着替えよろしくね〜」
ゆっくりと閉まるドアの隙間から、百叶が頑張れ、と小さく声をかけてくれた気がした。
………ここまできて、やっぱり無理ですなんて言ったら、きっとその方がみんなに迷惑かかるよね……
手に持ったメイド服を見つめる。
…正直、私なんかにこんな大役務まらないけど………
私は意を決して、制服を脱ぎ始めた。
ーーー「宮藤さーん、どお?着替えた?」
「っあ、は、え、はいっ」
何とか着替えてはみたものの、鏡がないから自分がどうなっているのか全然わからない。
着方が合っているのか、そもそも似合うはずのない衣装に、私は着替え終えてもなかなか外に出る勇気が出なかった。
そうこうしていたら突然外から声が聞こえて、私は反射的にそう答えてしまった。
「じゃ開けるよ〜」
思わず、ぎゅっと瞼を閉じた。
……怖い…みんなに、どんな反応をされるのか………全然似合ってないって言われても、何の異論反論もないけれど………
「……えっ…」
「…っ、」
ガラリ、と開いたドアの音がして、短い声が聞こえたあと、それ以降何の反応もない。
………わ、私が、あまりに似合わなすぎて、絶句させてしまった……のかも…………