直球すぎです、成瀬くん
完全に下を向いた私の頭の上で、女子たちがひそひそと会話を始めた。
「…成瀬くん、ああいう感じなんだ…?」
「もともと、そんなに喋ってるの見たことないからよく知らないけど…今のは女子に言うセリフじゃなくない!?」
「っちょっ、声大きくない!?聞こえるよっ」
「だって、ひどいよ今のっ!宮藤さん、全然気にしなくていいからね?」
「…あ……え…」
ポンと肩に誰かの手が載った感覚がして顔を上げると、1人の女子が私に強い視線を送っていた。
「……あ、わ、私は…大丈夫です……ごめんなさい…」
……気を、遣わせてしまった………みんなに………
「…と、とりあえず、戻って着替えよ、宮藤さん…!」
「そ、そうだね、そうしよっ」
私はまたみんなに連れられ、先ほどの空き教室に向かった。
「…柚、大丈夫……?」
廊下を歩いていると隣から声をかけられ、目を向けるとそこには百叶。
どうしてか、少し悔しそうな表情の百叶に、私は首を傾げた。
「…う、うん、大丈夫だよ」
「ごめん、柚、ああいうの苦手だって、私知ってたのに……つい、流されちゃって、みんなに言えなくて…」
ごめん、とまたこぼした百叶に、私は今できる精一杯の笑顔を作った。
「百叶が謝ることなんてないよ、私は、大丈夫だから……」
……今、私…上手く、笑えているかな………
うん、と返してくれた百叶の顔を見ながら、そんなことを考えてしまった。