星の向こうで待つあなたのもとへ
遠くから電子音が聞こえてくる。私の命がもうすぐ終わるのだと、その音は伝えてきた。

「最期に声をかけてあげてください……」

ずっと私を診てくれていたお医者さんがそう言うと、「姉さん!!姉さん!!」と妹が泣き始め、両親が「親より先に死ぬなんて……」と震える声で言う。

今日は七夕。織姫と彦星が夜空で再び巡り合える特別な日。こんな日に死ねるなんて、私は幸せね……。

ぼんやりとする視界の中、病室の窓の外には美しい天の川が見える。あの空の向こうであなたは笑っているのね。そして、私はその場所にやっと行けるのね。

ぐるぐると過去のことが思い出されていった。



私はごく普通の幸せな家庭に生まれ、過ごしてきた。両親は時に厳しく基本的に優しい人で、世間を賑わせている虐待をするような人たちではなかった。家族中はとても良好で、たまに家族旅行に行ったりもしたっけ。

小学校、中学校、高校といじめられたりすることなく過ごし、専門学校に就職してからも順調な日々を送っていた。
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