星の向こうで待つあなたのもとへ
病室のベッドの上でそう言われた時、私はその言葉が信じられなくて、「嘘、嘘……」と繰り返す。しかし、彼の遺体を見せられた時、その冷たい体に触れた時、本当に彼はいないんだと嫌でも理解した。

「どうして!!どうして私を置いて逝ったの!?今日幸せになるはずだったのに!!わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

泣き叫んでもがいても、彼がもう二度と目を開けることはない。幸せばかりが続いた七夕の日に、私は最愛の人を失った。

それから自暴自棄になって、自殺をしようとしたこともある。でも、結局助かって生きていくしかなかった。

「私は彼のもとには行けないの?」

涙が頬を伝う。幸せそうな恋人同士を見ていると、胸が苦しくなってその場から逃げ出した。

両親はお見合いなどを進めてきたけど、私は全て断った。だって私には彼しかいない。これからもずっと……。

そして、三十代後半になった頃、私はお医者さんからこう告げられた。

「末期の乳がんです」
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