アリサはもう逃げられない

学校から帰ると、かばんを下ろして亜梨沙（ありさ）は制服のままゲーム機を取り出す。最近女の子たちの間で流行っている恋愛シュミレーションゲームをするためだ。

「Alice in fantasy、スタート！」

ゲームをセットし、亜梨沙はスタートボタンを押す。するとテレビ画面が白く光り、亜梨沙はテレビに引き込まれていく感覚を最後に意識を手放した。



「ーーーサ！アリサ、起きてよ！」

誰かに揺さぶられ、亜梨沙はゆっくりと目を開ける。目の前にあるのはいつもの自分の部屋ではない。赤いバラが咲き乱れる庭だ。亜梨沙は庭にある木にもたれかかっていた。

「アリサ、やっと起きた！」

亜梨沙の目の前で、うさぎの耳を生やした金髪の男の子がニコリと笑う。首からは大きな懐中時計をぶら下げたその子はゲームのキャラクターの白ウサギだ。

「白ウサギ、おはよう。寝ちゃってたみたい」

そう言いあくびをする亜梨沙の手を白ウサギが掴む。