アリサはもう逃げられない
「早く来て！一緒にティータイムしようよ！」

「うん！」

亜梨沙は立ち上がり、白ウサギに案内されながら進んでいく。ゲームではなくまるで現実にいるようだ。

このゲームは不思議の国のアリスになって、イケメンとなった白ウサギやチェシャ猫、マッドハッター、芋虫、そしてハート国の王などと恋愛をするというものだ。お茶会やパーティーなどのイベントもたくさんある。亜梨沙のゲームだけは何故かゲームの世界に入り込むことができるのだ。

「アリサ、遅いぞ！お茶が冷めてしまう」

緑のジャケットに派手な飾りのついたマッドハッターがティーカップに紅茶を入れながら言う。たくさんのお菓子や紅茶が並べられたテーブルを、マッドハッター、チェシャ猫、そして芋虫が取り囲んでいた。

「ごめんなさい！これからは遅れないようにするわ」

亜梨沙がそう言い椅子に座ると、青いジャケットを羽織った芋虫が「別にいいよ。人生は急いだっていいことばかりとは限らないのさ」と亜梨沙の手を包む。お茶会に参加する亜梨沙以外のメンバーにピシリと稲妻が走った。
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