17時、カフェオレ。
カフェオレが帰ってきた
***
それから、私は先輩に話しかけるのをやめた。
「お待たせしました、カフェオレです」
「ありがとう」
たったそれだけ。
気まずい空気も出さない。
心地のいい空間を作っていくんだ。先輩のために。
先輩がいる間、先輩から離れて仕事をする。
そうやって先輩から距離を取っていった。
そんな日々が続いて、季節はあっという間に11月になって、街並みは徐々にクリスマスの色に染まっていた。
前、先輩を避けてた時と違って
先輩の幸せ願うんだって決めたら、今回はあんまり辛くない。
先輩と仲が悪いわけでもなく、ただただ距離が開いただけ。
そんな関係がこのお店には合っているのかもしれない。
「ごちそうさまでした」
「あ、ありがとうございます」
先輩が立ち上がれば、私は駆け足でレジへと向かった。
「230円です」
「はい。ごちそうさま」
「ありがとうございます」
会話という会話はないけど
近くないこの距離でいたほうが、私の気持ちにも整理がつくから。