17時、カフェオレ。
そして11月に入って1週間がたった頃…
「今日は寒いね」
「そうですね」
先輩が、修学旅行から帰ってきた。
4泊5日の修学旅行中、夕方このお店を閉めていたから、私も久しぶりのバイトだった。
「これ、お土産」
「え、私に…ですか?」
「うん」
そういって、小さな紙袋を私に差し出した。
「あ、ありがとうございます」
なんだろーと開けてみたら
小さな、丸くて青い球がついたキーホルダーだった。
「あ、沖縄いったんですよね?」
「うん。
それ、光に当てると沖縄の海が見えるっていうキーホルダーなんだよ」
「へぇ…」
私はさっそく、お店のライトにキーホルダーを重ねた。
「お、おぉっ…!」
そしたら思ったよりもずっと、しっかり海が見えた。
光がないとただの青い球なのに、光に当てるときれいな海が見えるなんて、すごい不思議…
「ありがとうございます。大切にしますね!」
…なんか、ずっと会話らしい会話なかったのに
あっても天気の話程度で深い話はしてなかったのに…
私に、お土産買ってきてくれるんですね、先輩は…
「カバンにつけよっと」
いつでも見られるように、私はスクールバッグにもらったキーホルダーを付けた。
「…ふふ」
先輩のことは諦めたのに
やっぱりこれだけのことで、私の頬は緩んだ。