17時、カフェオレ。
早歩きで向かって10分
駅前のホテルへと到着した。
「あ、こっちこっち」
「すみません、お待たせしました」
ロビーに入ると、ソファで優雅にくつろぐ伊藤先輩がいた。
一回しか入ったことないけど、やっぱり高級感あるホテル…
天井もすっごく高いや…
「ほら、あそこ」
先輩が指さすのは奥のラウンジだった。
「あ、ここのラウンジのケーキおいしいって有名ですよね」
「いやそれ今どうでもいいやつ」
私は先輩と奥のラウンジに近づいた。
こんなホテルのラウンジなんて、あの紫那さんには正直お似合いすぎて…
きっと優雅にケーキとか食べてるんだろうなぁと思いながらラウンジを覗いた。
「ほら、あそこ」
解放感あるラウンジはここからでもよーく見ることができて、先輩の指さすところを探すと
キレイなロングヘアが見えて、紫那さんを探すのに苦労はしなかった。
「……え?」
そして、同じテーブルには
これまた一段と目立つ、外国人の男性が座っていた。
「ほら、やっぱりああいうやつなんだよ」
先輩は冷めた声でそう言った。
「で、でも…たとえばお菓子つくりの先生とか…
恋人とかなわけじゃないのでは…」
「でも歩くとき、男の方はあの女の腰に手を回してたよ?」
「…外国だとエスコートするのが一般的じゃないですか」
「そりゃ腕組む程度なら俺もそう思うけど
…腰に、手を回す?恋人でもない人に」
「……でも」
本当に恋人なのかなんて、それだけじゃわからないよ…