17時、カフェオレ。
「俺の予想でしかないけど
たぶん、向こうが本命だよ。
理玖は遊びに過ぎなかった」
「ど、どうしてですか…っ!?」
「そもそも理玖と付き合った時だってあの人軽かったし。
しかも理玖とはあの店でしか会わない。出かけることもない。
でも、たぶんあの人はフランスからわざわざ連れてきた恋人。
喫茶店から出ない理玖に対して、あの人は国境まで越えてきた。
その差、歴然でしょ?」
…でも、そんなのあんまりだよ…
だって先輩は紫那さんのこと、本当に大好きなのに…
「まぁ、あの人は元々ああいう人だから。
別に悪いことしてるとか思ってないんじゃない?
これはこれ、あれはあれ、みたいな。
深く考えてないんだよ。
いろんな男に手を出したいタイプ」
なに、それ…
ひどすぎる…
だって、先輩はあんなに真剣に好きでいるのに…
いろいろ不安感じてても、信じて好きでいるのに…
「…これ、理玖先輩は知らないってことですもんね」
「そりゃね。
前回だって知ってたのは俺くらいで理玖は知らなかったわけだし」
「どうして前回見たときは本人に言わなかったんですか?」
「だって言っても誰も幸せにはなれないじゃん?
黙ってるのが一番平和だから」
…そうかも、だけど
なにも知らない理玖先輩が、かわいそうだよ…
「こういうのは他人が口挟むことじゃないから。
だから、優奈ちゃんも理玖には言わない方がいいよ
こんなことさせといて俺が言うのもなんだけど」
他人が口挟むことじゃない、か…
でも…きっと、私が言ったところで理玖先輩は信じないだろうな。
だって私なら…
好きな人のこと、悪く言われるの嫌だもん。
好きな人のこと、守りたいもん。
「…言えないですよ、こんなこと…」