17時、カフェオレ。



将人はそれだけ言って、教室に戻っていった。

…優奈ちゃんのことをどう思ってるか、か…
そんなん、考えたこともなかった。

俺にとって優奈ちゃんは喫茶店の店員さんで
俺の、癒しの時間だった。


ずっと1人であそこでカフェオレ飲んできて…
元気なマスターから優奈ちゃんに代わって、なにも話しかけてこない優奈ちゃんが心地よくて
なにも話しかけてこないのに、なんにも話してないのに

毎日、俺が行くとすぐにカフェオレが出てきて。
マスターだったら数分かかってたカフェオレが、優奈ちゃんだとあっという間で。


…優奈ちゃんと仲良くなってからは、あそこにいても寂しさなんてなかったよな。
いつも楽しく話してくれて、笑顔で接してくれて。
あの笑顔にいつも俺癒されてたっけ…


最初は俺に緊張してた優奈ちゃんがどんどん自然に俺と話してくれるようになって、そんな姿が可愛くて。
他の男にはいつも困ってるか拒否ってるかなのに、ただの客の俺には仲良くしてくれて。

あ、客だから仲良くしてくれてたのかな。…でも、そしたら学校でお昼誘ってくれたりしないよな…


…なんか、最近優奈ちゃんがいるのが当たり前になってて、優奈ちゃんのことをどう思ってるかなんて考えたこともなかった。
隣にいてもなんの不自然さも感じない。2人きりでもなんの違和感もない。

…優奈ちゃんのことなにも知らないから、せめてワッフルだけでも将人より先に知りたくて…
紅茶は先越されたけど、ワッフルは先越されたくなくて。


…こういうの、後輩には抱かない感情なんかな。
紫那にも抱かないこの感情、いったいなんなんだよ…


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