17時、カフェオレ。
…でも、私のことが嫌いでも
私ともう話さなくても
先輩の姿が一目でも見られたら、私はそれでいいんだ。
先輩が見られるだけでいい。会えるだけでいい。
もうそれ以上は望まないよ。
―――カランカラン、
その音が聞こえて
私は思わず時計を見てしまった。
16時40分
先輩にしては来るのが早い。
…でも、と期待をかけてドアの方をみたら
「……いらっしゃいませ」
「…こんにちは」
やっぱり、先輩がそこに立っていた。
「…これ、そうかなって」
「あ、はい」
先輩が差し出した水筒を、私はカウンター越しに受け取った。
なにか、言った方がいいのか…でも、もしかしたら怒ってるかもしれない。
怖くて私は先輩の方を見ることができなかった。
「あ、一応洗ってきたから」
「え、あっ…ありがとうございます」
そんな、ぎこちない態度しか取れなくて
うまく返事ができなくて、笑えなくて
私はすぐ後ろを向いてしまった。