17時、カフェオレ。



「あ、じゃあ優奈ちゃん
今日もちょっとよろしくね」

「はーい、いってらっしゃい」


16時半、マスターは遠い学校に通うお子さんのお迎えに行くために店を出た。
学校まで迎えに行って、そのまま塾に送ってくるんだって。

だからいつも17時半頃までお店には戻ってこない。


前はこの時間美里さんがお店にいたみたいだけど…美里さんもこのお店を支えるために今は外でパートしてるみたいで、それからマスターが行ってるみたい。
ま、帰りは美里さんがお子さん迎えに行ってるらしいんだけど。

なんだか…大変なんだなぁとしみじみ思っちゃうけど、マスターがこのお店を好きなのを知ってるから、美里さんも率先してパートを始めたんだって前言ってた。
それで私を雇って…大丈夫なのかなぁと心配になっちゃう。
それならお店閉めればいいのにって最初思ってたんだけど…


―――カランカラン、

「あ、いらっしゃいませ」

「こんにちは。
いつもの、ください」

「はい」


17時、いつもこの時間に来るこの男の人のためにお店を開けるんだって言ってた。
いつもこの時間に来て、いつものカウンターの奥から2番目の席に座り、ミルク多めのカフェオレを頼むこの男性のために。

この人がなんでいつもこの時間にきてるのかは私も知らない。
でも、毎日来るから毎日のように顔を合わせている。


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