17時、カフェオレ。
「ここのケーキってマスターの手作り?」
「もちろんそうですよ。
その日にしか食べられないので、あまり作れないんですけどね」
でも、マスターが作るものはなんだっておいしい。
だからもっといろんな人に知ってもらいたいけど…でも、ここが繁盛するのはいやだ。
先輩とこの2人きりの時間を邪魔されるのは嫌だ。
「…あの、先輩」
「ん?」
私は口の中にあるガトーショコラをミルクティーで流し込み、先輩に話しかけた。
「先輩って、どうしていつも17時に来て、カフェオレを飲んでいるんですか?」
「え?」
「理由がなきゃ、毎日同じ時間にきて、毎日同じもの、飲まないですよね」
ずっと気になっていた。
なにかなきゃ、毎日なんてこれないよ…
「…このカフェオレね、俺の彼女が好きでよく飲んでたの」
「……え?」