17時、カフェオレ。
「…優奈ちゃん」
「はい」
「また、一緒に飲まない?
俺おごるし」
…ねぇ、先輩
先輩はどうして私を誘うの?
その場所に、私の存在なんて必要ないじゃん
寂しさ埋めるために、私はここにいるんじゃないよ
「…仕事中ですので」
私は手を止めることなく、先輩にそう答えた。
「…俺、なにかした?」
その問いに私は何も答えられなかった。
先輩はなにも悪くない。
私がただ、先輩に恋心を抱いてしまってるだけなんだから
なにをしたわけでもない。
…でも、今は前みたいに話すことは私はつらいんだ
先輩はそれからもうなにも話しかけてこなくて
「ごちそうさまでした」
20分ほどして、席を立った。
「ありがとうございます。
230円になります」
「はい」
ちょうどお金をいただいて、レシートを渡しても先輩はそこから動かなかった。
「…今日は一回も俺の方見ないね」
それに、私はまたなにも答えられなかった。
『そんなことないですよ』なんて、言えるわけない。
だって意識してみないようにしてるんだもん、
そんなこと言ったって、嘘だってバレバレだから
「俺、嫌われちゃったかな」
その言葉に、私の胸はまた締め付けられた。