17時、カフェオレ。
「あ、もしかして好きな人!?」
「わっ…、声大きいよっ」
教室についた途端、大声で未希がそんなこと聞くから、私は急いで未希の口を押えた。
「ご、ごめんごめん」
「もうっ…!」
「……あー、そんな優奈もかわいい」
「なに言ってるの」
「で?誰が好きなの?」
「えっ…」
だ、誰と言われましても…
名前すら知らないよ、私…。
「もしかして私に隠し事ー?」
「ち、ちが…っ
それが、名前もわかんなくて…」
「え、なに
どういうこと?」
私は、喫茶店にくるカフェオレお兄さんのことを未希に詳しく話した。
「え、話したこともないの?」
「ちゅ、注文の時と、お会計の時くらい…」
「それ会話って言わないから!
ただの業務用語でしょうが!
話しかけて、せめて名前くらい聞きなさいよ!」
「えー…、だって…」
「なにも進まないでしょうが!!」
…だって、なに話せばいいかわからないんだもん。
ただカフェオレ飲んでるだけだしさ…
本読んでるとか、勉強してるとか、そういうのがなんにもないから
なにについて話しかければいいかわからないんだもん…
「とりあえずいつもカフェオレ頼んでるんだったら、カフェオレ好きなのかくらい聞けるでしょうが」
「……な、なるほど…」
でも、うまく話しかけられるかなぁ…