17時、カフェオレ。
「先輩、クッキー焼いてきましたよ」
私はそう言いながら、そこに置いてある学校のカバンから、クッキーを出して先輩の座るカウンターに差し出した。
「ありがとう。
なんか、将人のやつとは違うね?」
「味はそんな違わないと思いますが、形変えたんです!
型抜きよりそっちのほうが先輩向きかなぁって」
「そうなんだ、ありがとう」
先輩はそういって、早速1枚口に入れた。
「あ、おいしい!」
「本当ですか!?」
「俺市販のクッキーしか食べたことないんだけど、市販のよりこっちのが好きだな」
そういって先輩はパクパク食べてくれた。
それ先輩のためだけに作ったクッキーだから、先輩への好きが注がれてるんですよ、なんて言って、笑いあえる関係だったらよかったのにな。
そんな関係だったら、クッキーくらい、何度だって作ってくるのにな。
「あ、ごめん
カフェオレください」
…でも先輩は、どこまでも彼女さんのことを想ってるんだよね。
「…先輩」
「ん?」
「そのクッキーはミルクティーに合うように作った味です。
…今日は、ミルクティーにしませんか?」
私がそう提案しても
「…ううん
ここではカフェオレ飲むって決めてるんだ。
ごめんね」
どこまでも先輩はカフェオレしか選ばなかった。
「…かしこまりました」