17時、カフェオレ。


「先輩って、どうしてそこまで彼女さんのこと信じられるんですか?」

「え?」

「だって、もう1年以上会ってないところが音沙汰ないんですよね。
そしたら普通、向こうで他に好きな人ができたとか疑いませんか?」


私は、食器を片づけながらそんなことを聞いた。
もう、先輩の目を見られなくて…


「…そしたら彼氏失格でしょ?」

「でもそれ言ったら、なんの連絡もしない彼女さんも、彼女失格じゃないですか」


…私、なに言ってるんだろう。
こんなの絶対先輩に失礼なのに…


「こんなに先輩は想ってるのに、それに応えてくれないなんて
ちょっとひどいですよ」


こんなこと、私が言わなくてもいいのに
なんでこんなこと、言ってるんだろう。


「優奈ちゃん」

「…はい」


先輩は、私の発言を静かに聞き、少し間を開けて私の名前を呼んだ。
その声がいつもとちょっと違って

私の視線は自然と先輩に向いた。


「…これは俺らの問題だから。
優奈ちゃんには関係ないよね?」


先輩から出た言葉が、私にグサッと刺さった。
先輩の表情も、いつもの優しさが消えてて…


「…わ、私は先輩を思って…」

「うん。
でも、優奈ちゃんにはわからないよ」

「…え?」

「優奈ちゃんにはわからないよ。
俺の気持ちも、彼女の気持ちも、
付き合うってどういうことなのかも」


先輩のその言葉に、私はなにも言えなくなった。

本当、その通りで。
関係もないし、付き合うってどういうことなのかも知らない。

なんにもわからないや。


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