17時、カフェオレ。
「俺彼女のこと知ってたからさー
だからあえて今日カフェオレに突っ込んだわけよ」
「あ、そうなんですか?」
「そ。
平日なのに早起きして理玖のためにクッキー焼いたって話、未希ちゃんから聞いてて。
優奈ちゃんの気持ち、少しでも理玖に届って思って」
「あ、ありがとうございます…」
「俺めっちゃ応援してるから!
正直俺、理玖の彼女お高く留まってて好きじゃなくてさー
ってか理玖のこと子ども扱いしてたし。
こんなに理玖のこと思ってる優奈ちゃんが近くにいるのに、なんであいつ彼女ばっかなんだろって感じだよ」
「…それだけ、彼女のことが大事だからですよ」
今日の先輩を見てたら、私なんかが入る隙は全くなかった。
先輩は彼女さんのことが大好きなんだって伝わってきたもん。
「関係ないとか、私にはわからないとか
その言葉通りですよ。
私には、理玖先輩の考えてることなんかわからない。そんな分際で、踏み込んでいいことでもなかった。
先輩と彼女さんのことだから、誰も入っちゃいけなかったんです」
私は、先輩の表面しかわからない。
本当の気持ちなんて、私なんかにわかるわけもなく。
先輩は、その心を私には決して見せてはくれないんだ。
「…優奈ちゃん?」
「ご、めんなさ…」
”優奈ちゃんには関係ないよね”
”優奈ちゃんにはわからないよ”
そういった先輩の顔が忘れられなくて
どう頑張っても、先輩の心には入れないんだって思ったら
私は、我慢してた涙が溢れてしまった。