塩対応彼氏の恋愛事情。
「ん…」
見慣れた天井。
羽毛布団はふわふわで、つい押してしまう。
…そういえば前もこの癖で…
「その癖、治んないのな。」
誰かに、怒られた気がする。
「水瀬さん…すみません、私、倒れちゃったんですね…。」
あれから胸が苦しくなって、胸をおさえて蹲った。そこまでは覚えてる。
けどそこから先の記憶はなく、家にいるということは水瀬さんが運んでくれたんだろう。
「ゆっくりしてて。家事とか俺が全部やるから」
“本当は不器用で…───”
水瀬さんの指に貼られた大量の絆創膏をみて、遊佐くんの言ってた言葉を思い出す。
「…何笑ってんの。」
少しムスッとした水瀬さんは、会社で見る冷たい雰囲気からかけ離れて少し子供っぽくも見えた。