塩対応彼氏の恋愛事情。
「わぁ…!」
「莉茉、走ると転ぶよ。…って、言ったそばから…」
少し高さのあるヒールを履いてきた私は、転びかけた。
すんでのところで水瀬さんに助けられたけど…。
「で、でも水瀬さん!コーヒーカップに、観覧車…!」
「アトラクションは逃げないから。とりあえず落ち着いて?また転けるよ。」
私たちは今、遊園地に来ています。
朝、水瀬さんがパンフレットを見せてくれて「行きたい」と私が呟いたのがきっかけ。
「はーい…」
たしかに騒ぎすぎたかも。
周りのお客さんからの視線もあるし…。
「相変わらず好きだね、遊園地。」
“相変わらず”
その言葉が、抜け落ちた記憶を指している。