塩対応彼氏の恋愛事情。
「記憶が戻ったら、莉茉はきっと───」
その時、ガタンと観覧車が揺れた。
「え…?」
途端、さっきまで賑やかで明るかった遊園地も、真っ暗になった。
「莉茉、こっち。」
暗いところが苦手な私を察してか、水瀬さんは自分の隣をトントンと叩き、隣に来るよう促す。
「ごめんなさい、震え、止まらなくて…」
小さい頃、かくれんぼをしていた時に誰にも見つからない様な薄暗い場所に隠れた。
案の定そこは誰にも見つからなくて、誰も見つけてくれなかったから怖くて泣いていた。
そこから私は暗いところが嫌いで、その日を思い出してしまう。
「大丈夫、俺がいるから。」
ポンポンと私の頭を撫で、水瀬さんは私の肩を抱いた。