塩対応彼氏の恋愛事情。
「…莉茉?」
私はつい、水瀬さんを抱きしめてしまった。
「ごめんなさい、少しだけ…」
座っている水瀬さんを、後ろから抱きしめる。
私の回した手を水瀬さんは握った。
「水瀬さん、あの時……観覧車が止まった時、なんて言おうとしたんですか?」
“記憶が戻ったら、莉茉はきっと───”
この6日間、この事がずっと気になってた。でもなかなか聞けなくて。
「…何のこと?」
でも水瀬さんはそれすらもはぐらかす。
「水瀬さんは、私の事……本当に好きでしたか?」
記憶が戻る前、私はどんな風に愛されていたんだろう。
最近たまに、断片的に記憶がフラッシュバックする時がある。
あともう少しで思い出せそうなのに…それを“何か”が阻止するんだ。