塩対応彼氏の恋愛事情。
「今、なんて…」
聞こえていたのに聞き返すなんて、やっぱり絢くんは少し意地悪。
そんな所もなんにも変わってない。
「絢くん、私ちょっと苦しいかな〜?」
「ごめん…無理……」
私を抱きしめて離さない絢くんの肩は震えている。
抱きしめている手も、私を、私の存在を確認するように私の服を掴んでいて。
「ごめん莉茉……ほんとに、ごめん…」
涙声を隠すこともなく、絢くんは謝る。何度も何度も、私をぎゅっとしながら。
「私こそごめんね、絢くん。あの時、絢くんの話全然聞かないで飛び出して…」
それに、大好きな人を忘れた事。
愛する人に忘れられたら、私ならどう思うだろう。