塩対応彼氏の恋愛事情。
「莉茉」
呼び出されたのは給湯室。
この時間は誰もいなくて、2人きり。
「どうしたの?」
少しずつ縮まる距離、絢くんの香りがすぐ近くに……───。
「だ、だめっ!絢くん、こんなとこ……で………え…?」
ワイシャツの袖をずいっと私の前に差し出した絢くん。
その袖には黒っぽいシミが。
「コーヒーこぼした。落とせる?」
………30秒前の私、消えてなくなりたい。なんて幸せな妄想をしてたんだろう。
「あ、こ、コーヒーね!うん、落とせるよ!」
真っ赤な顔を隠すように私は下を向き、ハンカチを水に濡らした。
「ありがとう。」
絢くんは前によく会社に行く前に寝ぼけてコーヒーを飲んでてこぼすことがあったから、コーヒーの染み抜きはバッチリ覚えてる。