塩対応彼氏の恋愛事情。
『そっか…付き合ってたんですね。』
「社内では内緒にしてるけどね。」
別にうちは社内恋愛禁止ではない。
それでも俺が必死に莉茉との事を隠す理由は…───。
「で、なんか莉茉に用?」
遊佐 裕翔。
莉茉の同い年で同期で、仲の良い男。
『あ、大した用じゃないんですけど…メールで少し元気なさそうだったんで、気になって。』
…少し牽制しておくくらい、構わないか。
「それなら大丈夫。俺がついてるから。」
『…っ』
少しの沈黙の後に、唾を飲む音が聞こえた。
なんか俺、すっごい性格悪いな。
『…そう、ですよね。失礼しました。』
急いで電話をきった遊佐に少しは同情する。
…でも。
「誰にも、渡す気ないから。」
莉茉は俺の、唯一無二だから。
絢都side end