塩対応彼氏の恋愛事情。
「なんで、隠してんの…?」
私の肩を掴む遊佐くんの手に、少し力が入った。
「……わかんない。」
私だって知りたい。
なんで絢くんが隠したがるのか。
「そっか。」
ゆっくりと私を椅子に座らせ、遊佐くんは立ったまま。
「大丈夫。俺、バラしたりしないから!」
いつもの明るい声色になった遊佐くんに安心して上を向くと、酷く胸が締め付けられた。
「…好きな子の、そんな顔見たくねぇよ。」
酷く自嘲したような、そんな顔。
「好きな、子…?」
ここにいるのは私と遊佐くんだけ。
だからつまり、遊佐くんのいう好きな子っていうのは…
「俺は篠宮 莉茉が好き。…例え彼氏がいても、まだ諦めらんないから。」