塩対応彼氏の恋愛事情。


「…遊佐くんからだ。」


一晩中声を押し殺して泣いていたから、声も変。

電話にも出れそうにないからメールをしよう。



“篠宮、大丈夫か?”


私からしようと思ったのに遊佐くんからの方が早かった。

それに玲華からもメールが来てる。




「……ネクタイピン。」

カバンの中に可愛くラッピングされた箱が入ってる。

無駄になっちゃったから、どうしようかな。







「絢くん、絢くん…」

まだ少し温もりが残ったベッドに横になる。

名前を呼んでも、愛しい人からの返事はないけど。






「ごめんね…っ」



朝、絢くんの手を拒絶して。

…今、絢くんの事を疑って。







「大好き、なの…」


本当に、本当に好きだから。


───だから、やっぱり私達……










< 68 / 147 >

この作品をシェア

pagetop