塩対応彼氏の恋愛事情。
「…水瀬さん、ちょっといいですか。」
「遊佐くん、私たちこれから──「葛西さんは先に行っててください。」
葛西さんの言葉を遮り、何も言わず水瀬さんは俺の後ろを着いてくる。
あてもなく人気のない場所を探し着いたのは、やっぱり篠宮と何度も会う自販機横の長椅子の所。
「…で、俺になんの用?遊佐。」
相変わらずこの人は冷たくものを喋る。
仕事は迅速で丁寧、聡明で謙虚な完璧な男だと言われているだけあって上司の信頼も厚い。
俺みたいに平凡な社員じゃないってことはわかってる。
───でも。
「…篠宮はどうしたんです?」
それとこれとは話が別だ。
もしこの人が篠宮を騙して傷つけているのだとしたら、卑怯だと言われようが俺はその篠宮の傷に付け込ませてもらう。