塩対応彼氏の恋愛事情。
「でも俺は俺のやり方で莉茉を守ってる。そこに第三者は関係ない。」
淡々と綴られた言葉に義務感を感じるのは、そのあまりの無表情さにあるんだろう。
「…じゃあそのネクタイピンも、アンタの言う“守る”なんですね。」
そう言うと、水瀬さんは目を細め口角を上げた。
その顔はあまりにも冷たくて、恐ろしいとまで思った。
「…そうだよ。」
そこからは何も言えなかった。
カツカツと、静かなフロアに響く足音と遠のく背中を眺めているだけで。
「どうなってんだよ…」
あの人の言ってる事が、あの人の中では正しいんだろう。
でも俺は?
俺の語る守り方って言うのが正しいという確証はない。