塩対応彼氏の恋愛事情。


「私ね、絢都くんの事本気なのよ。…だから傷ついて欲しくないの。」

「…なんの事ですか。」


俺の手を掴み、葛西さんは涙を流す。

それが本物か嘘かはわからないけど、嘘ならば相当な役者だ。



「ううん。言わない。…好きな人の傷つく姿なんて絢都くんも見たくないでしょう?それと同じよ。」


確かに俺は莉茉の傷つく姿なんて見たくない。

そしてこの女は俺の傷つく姿を見たくないと言う。




「…言ってる意味がわかりません。」

「嘘つきね、絢都くんったら。…鋭い貴方なら気づいてるでしょう?」


薄々気づいている。
でもそこで頷けばこの女の思惑通りなだけだ。





「…見て?これ。」









< 82 / 147 >

この作品をシェア

pagetop