灰色メメント

私だけの空で

『本日のオークションは終了致しました。また次回のオークションをお楽しみに……』



そんな声が流れる、『人身売買』を行う小屋。



そこの名物は、美しい翼を持った”鳥人”であった。



「生まれてから毎日毎日、売られて捨てられて、売られての繰り返しばかり」



「こんな日が続くのなら、いっそ死んでしまった方がマシだわ」



大きな鳥籠の中で、銀色に輝く翼をはためかせた鳥人たちが会話をしているのが聞こえる。



「ねぇ、知ってる?前に飼われていた人から聞いたんだけど、この世界には、『どんな生物も剥製にできる』力を持った、”死の天使様”がいるんだって」



「私も聞いたことあるわ。望む形で時を止めてくれるとかなんだとか…」



「それって、つまり……」



そんな会話が耳に入ってくるのさえ普段は嫌気がさすけれど、今回の話は少し興味を持った。



「(こんな生活が続くのなら、いっそそこで……)」



そんなことを思ってしまったけれど、馬鹿なことだと考えを打ち消す。


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