煌めいて初恋
「あ、貝原」
恵が即座に反応した。
楓はそんな恵の声にくすりと笑いつつ、同じように後ろを振り向いた。
「大変だったなあ、芸能人の……なんだっけ?」
「鬼島昴?」
「そうそう」
凪はポンと浅黒い手を叩いて頷いた。
キリッとした濃い顔立ちの彼は、なかなかの顔立ちをしている。性格もクールで頭も良く、男女問わず人気がある。
「ていうかその話、聞き飽きるくらい聞いたよ。ほんと大変だった……。ね、楓」
恵は言葉とは裏腹に、少し声を弾ませている。
「そうそう。私、隣だから四六時中見られてる気がしてるくらいだったー」
楓は鷹揚に頷き、自嘲気味に笑った。
「困ったらなんか言えよー」
凪はそれだけ言って、走り去っていった。