煌めいて初恋

「ああそう、あたしのこと、知らないのね。
あたしは錦川姫李(にしきがわひめり)。
これでもモデル、やってるんだけど」


ああ、どうりで…


楓は心の中で納得した。
姫李とは初対面だが、明らかに周りの子とはまとう空気が違ったからだ。


しかしそれならそんな子が何故私なんかを、と楓は不思議に思った。


「あの、それで私に用というのは…?」


恐る恐る尋ねると、姫李はその美しい顔を微かに歪ませた。


「単刀直入に言って、鬼島昴くんとどういう関係?」


頭を鈍器で殴られたような感覚に陥った。


「どういう関係、なんて言われても……」


戸惑いを隠せず、悩む。


どういう関係?
そんなこと言われても、分からない。
むしろこっちが聞きたい。


悩んでいると、周りの女子たちは明らかに苛つきだした。


「さっさと言いなさいよ!」
「そうよそうよ!わずらわせないで」


その時、姫李が一歩踏み出した。


「みんなは黙ってて」


冷ややかな声が響き、それを合図に周囲は静まり返った。


「ねえ?白波さん。あたしは怒ってるわけじゃないのよ?ただ、質問しているだけなの。だから怖がらないで、正直に質問に答えて?」


にこり、と笑いかけられた。だけど、その目は変わらず笑っていない。
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