煌めいて初恋
「……そんなの、私が聞きたいくらい」
「は?なんて?」
姫李の目がグッと潜められる。そして、恐ろしく冷え切った声が耳を突き抜けた。
「もう一度、言ってご覧なさいよ。聞こえるように」
癪に触ったようだ。
姫李はどんどんこちらに詰め寄ってくる。
一歩一歩、彼女がこちらに近づいて来る度、嫌な汗が流れていく。
「ねえ?」
彼女の顔に触れる直前まで、近づいた。
「……本当に、分からない」
苦し紛れに、やっと出てきた言葉はそれだった。
もう、これ以上問い詰めないで。
あの時の目に似ているから。
怖い。
壊れそう。
ぎゅっと目を瞑った。
「……そう」
急に強い視線が弱まった。
姫李は一瞬、何かを考えているのか、長い睫毛をふしませた。しかし、それは本当に一瞬で、すぐに気の強い、冷たい瞳へと変わってしまった。
「あなたみたいなダサくてみっともない人が昴くんに見合うわけないんだから、そこのところ、ちゃんとわきまえなさいよ」
姫李はそれだけ言い捨てると、周りの女子たちを引き連れ、足早に去って行った。