煌めいて初恋

「だっ……、だいじょう……ぶ」


昴はへたり込んでいる楓を心配そうに覗き込んできた。


「何もされてない?」


胸がまた、ドキリと音を立てた。


「……されてない」


これも、錯覚だ。


「良かった。ごめん、昨日のあれ、見られてたみたいだね。こういうこと、田舎の学校だしないかなって思ってたんだけど……」


好きになんてならない。
なってはいけない。
そしてまだ、なってはいないはずだ。


今ならまだ引き返せる。


そう、思うのに。














やはり分からない。


春から現れては消えてくれない、この感情の正体を、恋と呼ぶ以外の方法が。
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